奈良で「人間らしさ」がテーマのイベントに参加しました!

こんにちは!! ビィーゴイベントディレクターのながはらです。

「面白いイベントを企画するためには自分たちもお客さんとしてイベントに参加しなければ!」、ということで大阪を中心にさまざまなイベントや人が集まる場所に足を運んでいます。

今回は、奈良市のコワーキングスペースBONCHIで2024年11月22日(金)に開かれたイベント「LIFE PICNIC 〜「生きる」をめぐる、ぐるぐる時間〜Vol.7 人間らしさと人類学」に参加してきました。

早速、当日の模様をレポートしたいと思います。

BONCHIってどんなところ?

会場のBONCHIは奈良市の中心部にある創業支援施設です。コワーキングスペース、レンタルスペースの他にカフェなどパブリックスペースがあります。弁護士など専門家による創業相談も受けられるそうです。近鉄奈良駅から徒歩約5分の場所で、近くには興福寺や奈良公園などの有名観光地があります。ドロップイン利用もできるので、奈良に行く機会があればぜひ訪ねてみてください。

ちなみに、興福寺では現在保存修理工事が行われており、五重塔が外からは見えない状態になっています。完成は7年後の予定。ずいぶん先の話ですね。ただ、大規模な修理保存工事は明治時代以来120年ぶりのことだそうなので、これはこれで貴重なのかも、と思いました。

イベント「LIFE PICNIC」とは?

イベントのホームページによると、LIFE PICNICは、「多様な価値観を知り、自分はどうありたいのか?どう生きたいのか?を考える連続企画」だそうです。

『「生きる」について考えるという壮大なテーマを掲げながらも、ピクニックのような楽しい雰囲気の中で、重さと軽さ、真剣さと楽しさ、学びと遊び、が混ざり合い、自分たちにとっての「当たり前の世界」を見直す機会にしていきたい』のだとか。

会場は、ピクニックという名前の通りアウトドアのような雰囲気。参加者はサンドイッチを食べながらお話を聞きます。

ちなみに、創業支援施設であるBONCHIさんで、LIFE PICNICのようなアカデミックなイベントをやっているのは、「創業機運の醸成」という狙いがあるそうです。平たくいえば、「起業したい!」という気持ちを生むためのきっかけづくり。そのために、働くとは何か?人生とは何か?について考える機会を提供しているとのことです。

過去のレポート記事もホームページに掲載しています。直近のもののリンクも付けていますので、興味のある方は本稿と併せてお読みください。

この日のテーマは、「人間らしさ」

このイベントはシリーズ企画で、毎回異なったテーマで行われます。今回は「人間らしさと人類学」がテーマでした。

トークとグループワークの2部構成で、トーク部分はエッセイ作家・MCのしまだあやさんがナビゲーターを務められています。基本は押さえつつ、ユニークな質問をしてくださるので、毎回どんな質問をされるのかとても楽しみにしています。

ゲストは文化人類学者松村圭一郎さん

この日のゲストは文化人類学者の松村圭一郎(まつむらけいいちろう)さんです。松村さんのプロフィールは以下の通りです。

1975年、熊本生まれ。京都大学総合人間学部卒。同大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)などがある。2024年4月に新刊として『人類学者のレンズ「危機」の時代を読み解く』(西日本新聞社)を出版

会場には著書販売コーナーも

会場には、松村さんの著書を販売するコーナーもありました。「はみだしの人類学」「くらしのアナキズム」など面白そうなタイトルが並んでます。

私は、BONCHIスタッフでこのイベントの担当者である金栄吉さん(下の写真左)に薦められて「働くことの人類学」(黒鳥社)を買いました。この本は、コクヨ野外学習センターのポッドキャストをベースとしたもので、松村さんが芥川賞作家の柴崎友香さん、文化人類学者の小川さやかさんなどと仕事や自由をテーマに対談されています。

働くことの本質が書かれているため、この本を読んで思い切った方向転換をする人もいるのだとか。読み応えがありそうな本なので、少しずつ読み進めていきたいと思います。

エチオピアで受けたカルチャーショック

トークは、松村さんの大学時代のお話から始まりました。松村さんは、大学3年生が終わった頃、当時生活していた京都を飛び出し、アフリカのエチオピアで生活されます。現地の人と交流する中で、今まで当たり前だと思っていたことが必ずしもそうではなかったということを体感。それをきっかけに文化人類学にのめり込んでいかれました。

ちなみに、社会学が、近代化・文明化された社会を研究対象にするのに対し、人類学は、教育やテクノロジー、文明がまだない時代を含めて人間がどういう存在だったのかを考えるのが特徴だそうです。

人類学的な視点を持つことの意義

松村さんは、人類学を学ぶことによって視点を広く持つことができたといいます。「自分の周りだけではなく、世界を見ることによってチョイスが変わってくる。」「今は世の中が壊れている。当たり前の選択しかできないことはない」といった言葉が印象的でした。

「らしさ」とは?

今回のテーマである「らしさ」について、松村さんは、「らしさは相対的なものであって、相手の関係性によって変化する」というような話をされていました。その例として、進学や就職などで身の回りの環境が大きく変わる際にキャラクターが変わってしまうことなどを挙げられていました。そういう時は、「らしさ」を見つめ直すきっかけにもなるそうです。

私自身も、東京の大学に進学した際に、「大阪出身なので面白いことを言うだろう」という周囲の期待を感じて、キャラが迷走したことを思い出しました(苦笑)。

質問コーナー:人類学者から見たコスパ・タイパ社会とは?

トークの最後には質問コーナーもありました。せっかくなので私も質問をしてみました。少し長いですが、引用します。「視点を広くもつという人類学的な物の見方の話が印象的でした。現代は、コスパ・タイパ社会だと言われますが、松村さんは人類学的な視点から見てこれについてどう思われますか?」

これに対して、松村さんは以下のように答えて下さいました。「人生、迷ったり、立ち止まったり、遠回りをしたり・・・そういうところに学びがあるんじゃないですかね。だから、コスパ・タイパっていう人は何も学んでいないことになると思います」。

私自身、無駄なこと、道草、遠回り・・・で生きてきた人間なので、この答えには大変勇気付けられました(笑)。

グループワーク〜「らしさ」について語る

トークの後は、3〜4人ずつ分かれてグループワーク「らしさ」をテーマに15分ほどおしゃべりしました。

印象に残ったのは、教員を早期退職されたという女性のお話。これまで、「先生」らしくしなければならないということが重荷になっていたそうで、「退職によって、ようやくそこから自由になれた」とおっしゃっていました。

私自身は、「人間らしさ」「自分らしさ」という言葉について、それが個性なんだろうという感じで、どちらかといえば肯定的なイメージを持っていました。しかし、彼女の話を聞いて、あらためて「らしさ」が足かせになることもあることに気付かされました。

まとめ・「らしさ」を裏切りたい!

というわけで、約2時間半、トークやワークショップを通じて「らしさ」について考えてきました。イベント全体で印象に残ったのは、「らしさ」は相対的なものであり、変化しうるということ、そして、「らしさ」には、それが足かせになるという負の面もあることです。

これらをふまえて、私は「らしさ」を裏切って生きていきたいと思いました。そのために、常識を覆すような体験をして、自分をアップデートし続けようと考えています。

次回開催は来年(2025年)2月21日。

「LIFE PICNIC」は、今後も続きます。次回は来年(2025年)2月21日(金)開催予定。ゲストは、コピーライターで世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋さん。この記事を書いている時点ではまだ公開されていませんが、来年1月ごろにBONCHIのHPに情報がアップされる予定です。

以上、奈良で開かれた「LIFE PICNIC 〜「生きる」をめぐる、ぐるぐる時間〜Vol.7 人間らしさと人類学」のレポートでした!

今後の予定について

今後も、関西エリアを中心にいろんなイベントに参加し、そこで学んだことを日々の企画に活かしていきたいと思います。不定期でレポート記事も掲載しますのでお楽しみに!

この記事を書いた人
まさやん
ビィーゴのイベントディレクター兼写真部長です。大阪市生まれ枚方市育ち。地元を拠点に、全国各地のローカル&ソーシャルな活動に関わるべく、いろいろ動いています。趣味は、鉄道旅・読書・スポーツ観戦(特にラグビーが好き)。