井上千晴さんに聴く「やりたいことが叶う生き方」【ビィーゴ会員様インタビュー】

コワーキングスペースビィーゴの利用者のみなさまに焦点を当て、その人の人生や仕事観についてお伺いするビィーゴオリジナルインタビュー企画「あの人に聴いた!働くってなんですか?」

第18回目のゲストは、NPO法人ハーモニークラブを運営され「えほんライブ」を通して活動されている井上千晴さんです。

井上さんは兵庫県宝塚市出身。短大時代にはガールズバンドを組み、オリジナル曲を披露されていました。結婚後、育児の苦悩やご両親との死別など、多くの困難と直面。そこでの経験から心理学をはじめとした様々なことを学ばれ、次第に「やりたいことを叶える人生」を歩まれるようになっていきます。

今回は、そんな井上さんがどうしてやりたいことが叶う生き方が出来るようになったのか。様々な経験を乗り越え、どう現在の生き方に至ったのかをビィーゴ コミュニティマネージャーのアサカワミトが聞いて参りました。井上さんから放たれる、不思議と救われるような気持ちになる言葉の数々。是非、最後までお読みください。

【プロフィール】
井上 千晴

エレクトーン講師をしながら、ホテルニューオータニなどでエレクトーンブライダル演奏者として活躍。結婚、出産を経て、2007年に生涯学習音楽指導員資格を取得。

2011年2月、絵本の絵をプロジェクターに映し、物語とオリジナル曲とで「自分との対話」をテーマに「心の調和」を目的としたオリジナルのエンターテイメント「えほんライブ」を発表。その活動を通して「大人もこどももありのままに生きられる社会を創る」という理念のもと、NPO法人ハーモニークラブを設立し運営している。

<インタビュアー>:アサカワ ミト(ビィーゴ コミュニティマネージャー)

「やりたいことを、やっています。」

ミト

今日は井上さんに、これまでとそして現在の活動に至る経緯などをお伺いしながら、先日オシゴトークの打ち合わせ(※)をしたときに感じた井上さんのバイタリティの源をお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。

※ 2022年12月11日に「みんなのオシゴトークVol.3」のゲストとして御登壇いただきました。

井上さん

よろしくお願いします。

ミト

では早速なんですが、自己紹介も含めて今どんなお仕事をメインでされているか教えてください。

井上さん

はい。私は「NPO法人ハーモニークラブ」を運営していて、えほんライブを通して「大人も子どももありのままに生きられる社会」をめざした子育て支援活動をしています。

基本的には保育や教育の場、そして放課後デイサービスや自治会などでえほんライブの出張公演をしたり、図書館のふれあいルームや広場など、そういうところで場作りをしています。他にもパフォーマー養成や研修をしたり、イベント企画もしています。

一方、個人ではエレクトーン講師、絵本制作、作詞作曲。さらにウェルスダイナミクスを使った自己分析やコーチングセッション、チームビルディング講座をしたりしています。

ミト

多岐に渡りますね! その中でメインと言ったらどれになりますか?

井上さん

昔から「千晴さんは結局何をしてる方なんですか?」ってよく言われるんですけど(笑)メインがどれというより、やりたいことをやっています。

ミト

「やりたいことをやっている」。これって言えそうではっきりと言い切れるものじゃないと思うので、そのあたりをこれから詳しくお聞かせください。

子育ての苦労から学び始めた「心理学」

ミト

いま精力的にされている「えほんライブ」を始めるきっかけは、何だったのでしょうか?

井上さん

そうですね。話せば長くなるんですけど…きっかけは子育てでした。

うちの子どもたちは小さい頃、学校の「こうあるべき」っていう枠にはまらないタイプだったんです。それで、私よく保育園や学校の先生に怒られていました。それが「なんでこんなに怒られるんだろう…」ってくらい怒られ続けて。その時は「私の育て方が悪いのかな…」なんて随分と自分を責めたりしました。

ミト

井上さんが、先生に怒られていたんですか?

井上さん

そうなんです。子どもを迎えに行くと、度々「息子さん、今日もみんながお絵かきしているなか走り回って邪魔をして、お友達に迷惑をかけてましたよ」とか「今日も木に登って落ちましたよ」とか毎回注意されて。

ミト

毎回注意されるんですか…。

井上さん

だから毎回それで「すみません」って謝ってました。そんな出来事が続くもんだから、どうにかしたくて。それでもともと興味があった心理学を学び始めたんです。

学んでいるうちにわかってきたことは、私が悪いんじゃなくて、それは子どもたちの個性なんだということ。それと、いつも自分で自分を責めているから、他人からも責められているように受け取ってしまう思い込みが自分にあることに気づきました。

心理学を学んだことで、自分を責めずに自分を大切にする受け取り方に変えればいいんだと思えるようになってきて。そうやって色々と行動を変えてみると、周りが変わったというか、私の見え方が変わっていったんです。

ミト

受け取り方を180度変えることが出来るようになったんですね。

井上さん

はい。そんなある朝。ふと「絵本をプロジェクターに映して、音楽も自分で作って、それをみんなでパフォーマンスにしたらどうだろう」というえほんライブの構想が浮かんだんです。ライブを通して「自分を大切にする、ありのままの自分でいることの大切さを表現できるようなエンタメ作品」を作ったらどうだろうかって、そう思ったんです。

ミト

何かきっかけはあったんですか?

井上さん

きっかけというより、考えていく中で私みたいに自分を責めているお母さんっていっぱいいると思うから、そんな人たちに届けたいなって思ったんです。

私は作曲しか出来なかったんですけど、うちの姉が漫画家だったので「こんな感じのが作りたいねん」って絵を描いてもらって。それで作ったのが一作目の絵本でした。

ミト

あ、既製の絵本を読み聞かせするんじゃなくて、オリジナルの絵本を作ったんですね。それは凄い。で、それを使ってえほんライブを実現させたんですね。

井上さん

そうです。でもこれ実は最初ミュージカルにしようと思っていたんですね。それで1回お友達と練習してみたんですけどあまりに大変すぎて、「これは無理やね」ってなりました(笑) じゃあ一人で出来る作品を作りたい。それだったらライブも出来る。そう思って、えほんライブって形になったんです。

ミト

なるほど、それがえほんライブをするに至った流れだったんですね。そしてそれが個人活動に留まらずNPO法人の設立にも繋がりましたよね。どうしてNPO法人を設立されたんですか?

井上さん

最初の頃は、自分でお金を払って場所を借りてライブをしていたんです。でもそのうち有償で「やってもらえませんか」って声をかけてもらえるようになってきました。そうしていると「千晴さんがしていることってNPO活動なんじゃない?」ってよく言われるようになったんです。

そこで調べて考えたんですが、今までこの10年間で自分でお金を出して赤字でライブをやって、ボランティアもやりました。じゃあそれが社会の役に立って、自分だけじゃなくて、周りの人にもお金やそれ以外の色んな豊かさが循環するっていう形、そしてそれを持続可能な形にするためにはNPOなのかなっていう所で腑に落ちてきて、それでNPO法人にしようって決めたんです。

ミト

先々を考えてみると、目指したい形がNPO法人だったんですね。

井上さん

私はいつも「こうしよう」って決めて、そこに未来を定めて、その未来を遡って色々調べていくと「ああじゃあこれだな」って、そうやってやることが決まるみたいな。そんな感じでいつも動くんです。

「子育て支援」よりも、実は「親支援」

ミト

ハーモニークラブさんのホームページを見たんですが、キャッチコピーに「ありのままで生きられるための親子の場作り」と書かれていましたが、この言葉に込められた思いってなんですか? 「親子で一緒に楽しむ場がないなぁ」とか、そういったことを思われたのでしょうか。

井上さん

ハーモニークラブは子育て支援もそうなんですが、実は親支援なんです。

色々なことを学んできてわかったのは、子どもはもともとありのままの存在なんだということ。でも大人が「こうじゃないとダメ」とか「苦手を克服しないとダメ」とか、そういう育て方をしちゃう。そうすると、子どもはありのままではいられなくなっちゃうんです。

本当は子ども側を変える必要なんかなくて、大人の方がありのままの自分を思い出してもらうってことの方が大事なんです。自分で自分を責めたり、いつも自分を下げて話をしたり…それだと自分の心を平和にすることは出来ないんです。自分を下げる人がたくさんいると、それが次第に人からものを奪うような人になっていったり、悪口が止まらない人になったりしていきます。

だからまずは大人が自分の心の中を平和にするってことが大事なんじゃないかなって。

ミト

えほんライブを通した「親子の場づくり」というのは、お子さま以上に親御さんに対してアプローチしたいっていう思いがあったんですね。先ほどの井上さんの保育園の話も、先生に怒られてしまうことにいちいち罪悪感を感じなくても良いんだってことですね。

井上さん

そう。誰も自分を責めなくていい。そうやって一人一人の心が平和になっていったら、それが広がっていくんじゃないか。自分の本当にしたいことは、そういうことなんです。

ミト

なるほど。えほんライブはお子さまに観てもらうだけではなく、一緒に観る親御さんに対しても何かを教えたいってことだったんですね。

井上さん

教えるとかではなくて、世界観として届けるってことですね。教えるってことは「それはダメ」っていうことを生み出してしまうかもしれない。だからそこは白黒ではなく世界観として届けるという形にしたかったんです。

今日その日その人に、一番必要なタイミングで一番必要なメッセージが届くっていうのが、えほんライブを通じて伝わってほしいこと。だから押し付けるってことはしたくなくて、教えるとかではなくて、世界観として届けるってことがしたかったんです。

ミト

なるほど。えほんライブの世界観で観ていただくことで、その時々に響くものを受け取ってもらいたい。ということなんですね。

井上さん

そうです。それを残したい。自分が死んでも作品によって響くものが残る形にしたいなって思っています。

海外でも開催した「えほんライブ」

ミト

ではえほんライブを始めて、印象に残ったエピソードがあれば教えてもらえますか?

井上さん

元々はミュージカルをやりたいと思って始めたことだったんですが、これが実は叶ったんです。えほんライブを始めて4年後、絵本を出版してCDを作ったんですね。それを見てくださったダンススタジオの先生がいて、その方がこの作品を「うちでミュージカルにしたい」って言ってくださったんですよ。

ミト

おおー、本当に叶ったんですねー!

井上さん

で、さらに、海外で出来たらいいなーなんて思っていたんです実は(笑)

そうしたらなんと「バリの兄貴」っていう、映画にもなった日本人の大富豪の方がいるんですけど(※)、その方が寄付してる孤児修道院があって、そこでえほんライブをしないかって話が来たんです。ボランティアではありましたけど。

※『神様はバリにいる』(2015)主演・堤真一/監督・李闘士男

ミト

え、凄い!

井上さん

そうと決まれば「よし、英語で出来るようにしよう!」てことで歌を翻訳して、練習して、それでバリに行ったんですよ。

で、ライブ前日にバリの兄貴と食事をするんですけど、その時「明日何語でやるん?」って聞かれて「英語練習してきました!!」って言ったら「みんな英語わからへんよ。バリ語しか通じひんし」って言われて唖然としました。それだったらカタコトで自分でもわからんような英語でやるよりも、日本語でやったほうが良くない?って思って、結局日本語でライブしたんです(笑)

ちなみに別の日にはクランビタン宮殿の王様にも、お食事の招待をしてもらいました。

ミト

え!? そのバリの兄貴のコネクションで?

井上さん

バリの兄貴を紹介してくれたアーティストの方がいて。その方が王様にもコネクションがあって、それで連れて行ってもらいました。そこでもちょっとミニライブをさせてもらえましたし、楽しかったです。

ミト

いや、ちょっとしたエピソードを聞くつもりが、思いのほか規模の大きいエピソードを聞かせてもらいました(笑)

ちなみに実際、修道院でやってどうでした?日本語でやってみた反応は?

井上さん

それがまた、色々あったんですよ。
バリでは日本と電圧が違って、コンセントを繋ぐのに変圧器を使わないといけないんですけど、その変圧器をホテルに忘れてきたんですよ。

ミト

なんと!

井上さん

取りに行って帰ってくるのに1時間くらいかかるし、じゃあ子どもたちが待ってる間どうする??ってなって、そこで日本の手遊びで場を和まそうと思いつきました。「アルプス一万尺」とかいろんな手遊びをして、なんとか繋ぎました(笑) するとこれが怪我の功名か、子どもたちと結構仲良くなって。

バリの子どもならみんな知ってるっていう曲も準備していたので、それを修道院にあったキーボードで弾いたら、なんかえらくみんな盛り上がってくれました(笑)

現地の方は変圧器が来るまで「この人らなんとかしてあげなあかんわ…」みたいな空気があったんですけど、トラブルが逆に功を奏して、結果的には空気が温ったまりました(笑)

結局、絵本の内容は子どもたち多分解ってなかったと思うんですけど、ライブ中も「ピーピー」って指笛鳴らして盛り上がってくれたり、手遊びを楽しく一緒にやってくれたり、結果的にすごく良いライブになりました(笑)

ミト

めちゃくちゃ面白い話ですね! 珍道中じゃないですかそれ(笑)

「ずっと我慢をしてきた自分」を変える出来事

ミト

ところで、えほんライブを始めたことで何か変化はありましたか?

井上さん

えほんライブや色んな勉強を通して息子たちを改めて見てみると、彼らは「個性を潰されないまま強く生きていてすごいな」って逆に尊敬出来るようになりました。それに比べて私は「人に迷惑かけたらあかん」とか「こうしないと愛されない」と思っていたので、自分で自分を押し潰していたんだなっていう発見をさせてもらうことができました。

息子は二人とも学校という環境には向いていなかったみたいだけど、お金を稼ぐのはすごい得意なんです(笑)

学校にいる時は勉強する意味がわからないって言ってたんですけど、社会に出てみるとお金を稼ぐことが好きだってわかったみたいで、稼ぐための行動がすごく出来たんです。すごいなって思いました。

ミト

ちゃんと才能があって、開花させたんですね。もし井上さんが自分を責め続けていたら、お子さんも才能を閉じ込めてしまってたかもしれませんね。井上さんが様々な学びを経てやりたいことを実現されてきたからこそ、結果的にお子さんもやりたいことを伸び伸びと出来るようになったのかもしれませんね。

井上さん

そうかもしれませんね。

ミト

じゃあ、お仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

井上さん

自分の心が本当にそれをしたいかどうかってことですね。何かを選択する時は、自分の頭ではなくて、心で本当にやりたいことを選択する。そして環境作り。周りの人が、ありのままでいられるためにはどうしたらいいかってことを考え、大切にしています。

ミト

周りの人に対して、その点では何を心がけていますか?

井上さん

相手の人がしゃべっていることそのものではなく、その人の意図、その奥にある望みはなんだろうってところを意識して聞いています。

ミト

なるほど、丁寧に相手の話を聞いているんですね。

次の質問が「井上さんにとって働くって何ですか?」なんですが、今日聞いていて思ったんですが…井上さん、働いてるっていう感覚あります?

井上さん

ないです。「働く」と「自己実現」は同じ感じですね。

ミト

そうですよね。やっぱり働いている感覚はありませんか。

今までお話を聞いていて、井上さんから働いているっていう感じが良い意味で全くしなかったんです。この質問をする時、なんか井上さんに働くって言葉が当てはまらないなと。ありのまま、やりたいことをやり続けていて、それがそのままお仕事になっている感じがして。

井上さん

自分の好きなこと、得意なことで、どうしたら貢献できるかっていう感じだと思います。

ミト

よく聞かれると思うんですけど、どうやったらそんなにやりたいことができるんですか?

井上さん

「生きがい論」みたいなのがあって。「生きがい」っていう言葉は、海外で結構フューチャーされているらしいんです。

海外では「生きがい」に相当するような言葉が実は無くて、その「生きがい」を因数分解した外国人がいるんですけど。
「生きがい」っていうのは「好きなことで」「得意なことで」「社会の役に立つことで」「お金になること」。

これが全部が重なる所が生きがいなんだそうです。これが学びになりました。

ミト

なるほど!! すべてが重なるところですか。

井上さん

それに私にはとことん自分を我慢してきた過去があって。それがある日「もう嫌ーっ!!」てなって、やりたいことをやるって決めたんです。

ミト

それはどれくらいの我慢してたんですか?

井上さん

15〜6年前までですね。で、変わるきっかけとなった「月に吠える事件」っていうのがあって(笑)

それまでの私はとにかく「自分さえ我慢すればいいんだ」という思い込みがあったんですよ。自分はいいから、周りの人が自分らしく過ごせたらいいなって思ってました。そこに自分を入れていなかったんですね。

「自分さえ我慢すればみんなは穏便に過ごせる」とか、「自分さえ我慢していたらうまくまわる」とか。そんな気持ちでずっとやっていたら、ある時、自分に対して「それって、可哀そう過ぎへん?」って思って。それがちょうど満月の夜だったんです。

駅からの帰り道、月を見ながら涙を流していたんですけれど、流しながら「そういえば、満月の時って何かを手放せる」って思い出したんです。それで「これからは自分を我慢させることはせず、全部手放しまーす!!」って思いっきり吠えてみたんです。それから気持ちが切り替わって、自分の望みや夢を叶えることをし始めました。

ミト

その、自分が可哀想すぎると思ったきっかけってあったんですか?それとも、もう溜まりに溜まったっていう感じだったんですか?

井上さん

実は私が二十代後半のとき、母が突然亡くなったんですね。十数年前には父。そしてそのあと姉も亡くなって。一緒に過ごした家族が全員亡くなったんです。

家族が亡くなった時、やっぱり残された者って後悔するじゃないですか。もっとこうしたらよかったとか、優しい言葉をかけたらよかったとか。

それで考えたんです。もし私が可哀そうなまま死んだら、息子たちに後悔の気持ちを与えないだろうかって。自分が自分の気持ちを犠牲にして、我慢して周りのために生きる。それが子どもにとって本当に幸せな気持ちにさせてるんだろうかって思って。

私が棺桶に半分足突っ込む時には「人生楽しかったわー。思い残すことなんかなんにもない。じゃあね、バイバイ!」って言えて、子どもたちが「おお、よかったなぁ」って思ってくれるのが一番じゃないかと思ったんです。それに比べて今の自分は可哀そうだなと(笑)

ミト

なるほど。自分のやりたいことをする事が、残された者たちへの後悔を残さず、みんなが前向きに生きていける礎になると。で、満月の夜に叫んだことがターニングポイントになって、まさに変身したんですね(笑)

井上さん

そうですね(笑)

「自分らしさ」というプレゼントを見つけてほしい。

ミト

では、自分が進むべき道について悩んでいる人に対して伝えたいこと、アドバイス出来ることがあったらお願いします。

井上さん

私が作った絵本に「イートンともりのどうぶつたち」というのがあるんですけど、主人公のイートンは、今まで一度も実を付けたことのないリンゴの木なんですが、周りの動物たちの素敵なところを見つけるという特技があるんです。それを伝えていくうちに、みんな自分のことが好きになって、お互いのいいところも見つけられるようになって、どんどん協力しあうようになることをきっかけに、イートンもリンゴの実をつけることが出来るようになるって話なんですけど。

言いたいのは、みんな誰一人欠かすことなく、自分らしさっていうプレゼントを持って生まれてきていて、それをいかに自分に見つけてあげれるか。

それを見つけられるのは自分しかいないし、見つけるきっかけ、ポイントは「ワクワクする」とか「好き」とか「時間を忘れて没頭しちゃう」とかっていうもの。それを深めて、それを活かせる仕事についたとき、仕事と趣味の区別がなくなる状態に入れるんだと思うんですね。

その自分の中にあるプレゼントを是非、見つけてほしいなって思います。

ミト

ありがとうございます。今後の展望はありますか?

井上さん

現実的なことでいうと、お仕事で依頼を受けて曲を作りたいですね。それと作品も増えていってるので、それらがまたミュージカルになったらいいなと。

あとは女性リーダーのコミュニティーサポート。自己分析、チームビルディングのサポートもできたらいいなと思っています。

ハーモニークラブの方は、枚方の保育園をはじめ色んなところに毎年呼ばれているんですけれども、えほんライブを使った保育士研修とか、社員研修とかで、自己肯定感とかそういうものを育めるような社員研修ができたらいいなって思います。

もっと大きなことを言うと、メタバースでもえほんライブが出来るような空間が作れたらいいなって思うのと、素人でも自分のオリジナル絵本が作れたり、曲が作れたり、それを組み合わせてえほんライブが作れるようなアプリ開発が出来たらいいなと。

それと学校教育にもえほんライブ作りを取り入れてもらいたいですね。今って縦割りの授業じゃないですか。国語習います、美術習います、道徳習います、音楽習いますって、それぞれが別で。でも、えほんライブを通して文章を作ったり、音楽を作ったり、絵を描いたり、横断的に学んで、受け身の授業ではなく自分の中にあるものを表現するっていう学びができるものだと思うので、これが授業になったらいいなって思います。

ミト

夢が大きいですね!! その発想が出来ること自体が凄いです。

井上さん

口に出すって大事じゃないですか。口に出してこんなんなったらいいなって言って、私の場合それが4年後くらいに叶うことが多いんです。

ミト

うわ、それじゃあ4年後にアプリっていうのも、まんざら叶わない夢じゃなさそうですね(笑) 是非これからも大きく広がっていく井上さんを期待しています。

今日はどうもありがとうごさいました。

井上さん

ありがとうございました。

井上さんのプロフィール

井上 千晴

エレクトーン講師をしながら、ホテルニューオータニなどでエレクトーンブライダル演奏者として活躍。結婚、出産を経て、2007年に生涯学習音楽指導員資格を取得。

2011年2月、絵本の絵をプロジェクターに映し、物語とオリジナル曲とで「自分との対話」をテーマに「心の調和」を目的としたオリジナルのエンターテイメント「えほんライブ」を発表。その活動を通して「大人もこどももありのままに生きられる社会を創る」という理念のもと、NPO法人ハーモニークラブを設立し、運営している。2023年にビィーゴを卒業。

 


編集後記

たっぷりお話を聞きまして、気が付けば実に一時間以上のロングインタビューに。全てを載せるとあまりにも長くなるので泣く泣くカットしたところも多数・・。

たとえばウェルスダイナミクスという自分の適性を知る技術を学ばれたお話や、好きな人をおうちに呼んでいたらどんどんおうちがサロン化していった話とか。どれもとても興味深い話でした!!

そして後日――

ハーモニークラブさんの「えほんライブ」を観に行ってきました!!
会場ではお子さまが窮屈にならないように、おとなしく座って観るだけでなく、自由におもちゃなどで遊ぶスペースも設けていたり、えほんライブの最中でも、一緒に歌を唄うことが出来る場面を作ったりと井上さんの思いがあふれ出た空間になっていました。

そして、そのあとぼくは講習会で少しばかりゲストアドバイザーとして参加しました。一応、劇作家なので、何かお役に立てることがあるかなと思っての参加でした(笑)

あらためまして井上さん、ありがとうございました!!

この記事を書いた人
アサカワ ミト
ビィーゴ コミュニティマネージャー(アナタとおしゃべりしたい人)
イベントを企画したり、ビィーゴを通して枚方の面白さを発掘したりしています。
演劇活動もしており、カフェなどの日常のそばで小さな公演をしたり、一般の方にも演劇を体験していただける「演劇であそぶワークショップ」などの活動もしています。