フリーランスデザイナー平岡直樹さんに聞く「お客様目線で考える」とは【ビィーゴ会員様インタビュー】
コワーキングスペースビィーゴの利用者さまに焦点を当て、その人のこれまでの人生や将来の展望についてお伺いするビィーゴオリジナルインタビュー企画「あの人に聴いた!働くってなんですか?」。
第12回目のゲストは平岡直樹さんです。平岡さんは、枚方を拠点に活躍されているフリーランスのデザイナー。これまで企業や施設のWEBデザインだけでなくロゴやパンフィレット、名刺など幅広くデザインを制作されてきました。ビィーゴの立ち上げにも深く携わっていただき、ビィーゴを語る上で欠かせない存在です!
平岡さんの今までの人生、またこれからの人生について、現役大学生のビィーゴスタッフきだが聞いてきました。
平岡直樹 / yuu(フリーランスデザイナー)
大学卒業後デザイン会社に勤め、2018年に独立。枚方市を拠点に企業や幼稚園、カフェなどのデザインを幅広く制作する。
繊細で柔らかい絵や文字と内容の分かりやすさが追求されている「優しいデザイン」が特徴的。
<インタビュアー>:きだ(ビィーゴアルバイトスタッフ/大学生)
1.育ったまち枚方でデザイナーとして働く
さっそくですが、今どんなお仕事をされているのかを含めて自己紹介をお願いします。
枚方を拠点にデザインの仕事をしています。
元々WEBサイトの制作会社に勤めていたので、WEBサイトを作る仕事が多いんですけれど、それ以外にもロゴやパンフレット、名刺等の紙ものも作ったりしています。
デザインにまつわる仕事を満遍なく受けていますね。
元々WEBデザインの会社で働かれていたということですが、フリーランスとして独立する時になぜ枚方を拠点に選ばれたのですか?
実家が枚方だったからですね。幼稚園の頃からずっと枚方に住んでいて、就職したときに大阪市内に引っ越しましたが、結婚を機にまた枚方に戻ってきました。
では、会社で勤めておられた時から枚方に戻ってくることを考えられたわけではないんですね。
そうですね。今枚方を拠点にしているのは本当に偶然です。
独立するときは特にどこで仕事をしていくか決めていなかったのですが、今は枚方のお客さん達から様々な依頼をいただいているので、結果として自分が生まれ育った枚方が賑わっていくことに少しでも携われるのはとても嬉しく思います!
2.どんなことにもチャレンジする
今のお仕事に至るまでの経緯や職歴、ターニングポイントを教えて下さい。
経歴は(芸術系ではない)普通の大学を卒業して、いくつかの制作会社を転々としてきた感じですね。
デザインの仕事に携わるきっかけは何かあったんですか?
「インディペンデンス・デイ」という映画を観て、そのCGがすごくて自分でも作ってみたいと思ったのがきっかけです。
大学の先生に頼んで、CG制作に取り組める環境を作ってもらいました。
映画がきっかけだったんですね!!
そこから作ったものを他の人に見てもらいたいと思うようになって、ホームページを作るようになりました。
行動力がすごいです。
人生のターニングポイントで言うと、「会社から独立したとき」ですね。
平岡さんの独立のきっかけは何だったんですか?
ずっと制作会社で働いていたんですけど、ある時、親族からホームページの制作ができないかと依頼されて、それがきっかけで副業として作りはじめました。
そこから会社勤めと自分の仕事の二足のわらじで2年くらいやっていたんですけど、徐々に副業の稼ぎの方が大きくなっていったんです。
最初は両立されていたんですね!
そうなんです!でも両立は難しくなって来たので、フリーランスのWEBデザイナーのとして独立することを決めました。
会社に勤められていた時もロゴやパンフレットの制作もされていたんですか?
いや、ロゴや紙ものは独立してから作り始めましたね。
WEBデザインと、ロゴやパンフレット制作はかなり違うものなのですか?
全然違いますね。実は、ロゴは今でも苦手です(笑)
そうなんですか!でもたくさんの素敵なロゴを作られていますよね!
角建材 スマイリンク atelier mou
ロゴ制作は、生みの苦しみがありますね。
ホームページ制作は、元々商品やロゴがあって、それをどう魅せていくかを考えていきます。
それに対して、ロゴ制作は何もないゼロのところから作り上げていくので、本当にこれでいいのかなという自問自答が多いですね。でもできた時の達成感はすごくてやりがいがあります!
ホームページ作成だけではなくて、ロゴやパンフレットも作ろうと思ったきっかけはあったのですか?それとも、流れで作り始めたのですか?
デザイナーとして仕事を受けていると、「ロゴの制作もできるんですか?」って聞かれることも多かったんです。
デザインと一言でいっても幅が広いですもんね!
僕が基本的に仕事をする上で心がけていることがあって、
1つ目は「どんなことでもチャレンジしよう」ということ、2つ目は「お客さんが求めていることに応える」ということです。
そういう思いがあってできるだけどんな仕事でも受けるようにしています。
3.お客様目線で考える
平岡さんがお仕事をしている上で大切にしていることを教えて下さい。
制作会社で勤めていた時から言われていたことなんですけど、「お客様目線で考える」ということを大切にしています。
これは独立してからも、ずっと大切にしています。
自分本意でやってしまうとお客様の求めているのとは違うものが出来上がってしまうからです。
デザインとなると、ついつい自分ならではのデザインに集中してしまいそうですね・・・
自分が作りたいものを作るのではなくて、お客様の欲しがっているものを作っていく中で、自分らしさみたいな所をつけていくような感じです。
あくまでも相手の望むものを作るということですね!
あとは、「諦めないこと」ですかね。デザインを作っていて大変な時もあるんですけど、そこで終わらせずに諦めない。
諦めないことをずっと続けていくと、その先のお仕事にも繋がったりもします。
一度諦めてしまうとその後の仕事でも諦めが早くなってしまったり、それによって質が落ちてしまったりすると思います。
平岡さんが依頼から完成までの間で1番時間をかけるところはどこですか?
依頼によりますね。依頼を受けてからすぐにデザインを考え始めるものもあれば、コンセプトから考えてほしいというような依頼だったらヒアリングにも時間をかけていきます。
ただ、僕の制作は、他の人に比べたら、時間をかけている方だと思います。
一人で全部やるとなると、とても時間がかかりそうですね。
そうですね。どうしても時間がかかってしまいます。
これに関しては依頼を受けたときに、時間がかかってしまうことをあらかじめお客様に伝えるようにしていますね。
4.大変だったからこそ、成長できた
続いて、印象に残っているエピソードで嬉しかったことと、大変だったことを教えて下さい。
正直、嬉しかったことより大変だったことの方が印象に残っていますね〜。
確かにそうですよね。特に大変だったことは何ですか?
数年前に開催した子ども向けのイベント主催が本当に大変でしたね・・・。
ですけど、この大変なイベントを乗り越えたからこそ、その後の仕事で大変なことがあっても諦めずに取り組めてきました。大変だったからこそ、成長できたかなと思います。
5.ビィーゴのコンセプトについて
平岡さんはコンセプト作りやデザインなどビィーゴの立ち上げのデザインにも一緒になって深く関わっていただいたと聞いていますが、ビィーゴのお仕事は大変ではありませんでしたか?(笑)
ビィーゴの立ち上げは楽しかったです!
ビィーゴの制作は周りの方の協力や支えもあって、制作しやすい環境でもありました。壁面の絵を描くのも一日かかったので大変だったんですけど、でも一緒に描いてくれる方もたくさんいたのでそれは嬉しかったです。
また、ビィーゴの制作がきっかけで、色んな人に僕のことを知ってもらえるようにもなったので、すごくありがたいお仕事でした。
ビィーゴ立ち上げの時の写真 平岡さんデザインのパンフレット
シェアオフィスのサインのデザイン レンタルスペースの看板サイン
「Be→Go(ビィーゴ)」は、今ある自分=「Be」を、一歩先へ=「Go」という思いが込められています。
ビィーゴのメインロゴの「ビィ→ゴ」の「→(矢印)」はよく見るとたくさんの「●(黒丸)」で出来ていて、この「●」は、一歩先へ向かっている人を表しています。
本当に素敵なコンセプトですね!
ビィーゴのアイコンには全て「→(矢印)」を使っているんです。
よく見るとイベントルームのマークなど、すべてのアイコンに矢印があるので、是非探してみてください。
ビィーゴの制作のように、コンセプトやロゴ、サイン、パンフレットなどたくさんのものを作ることになったときは、すべて同時並行で進めていくんですか?
いろんなものを作っていくとなると、まずは根底になるコンセプトやロゴを作っていきます。他の制作物はそこから流れで作っていきますよ。
6.人柄の大切さ
それでは、就職活動などで自分の進むべき道について悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします!
どんな仕事でも、最後は人柄なんじゃないかなと思うんです。
僕に仕事を頼んでくださったお客さんも最初は今までの制作物を見て知ってくださったのかもしれないんですけど、この人に依頼しようと決めるのはその人のデザインだけではなくて会った時の印象や受け答えといった人の内面の部分が関係してくるんだと思います。
もちろん技術面も大切ですが、人柄が依頼の決め手になると今までの経験で感じました。
確かに会った時の印象で信頼できるかどうかで、どこまでお願いしようとか、仕事の内容も変わってきそうですね。これからの教訓になります。
就職なら「この人と一緒に仕事をしてみたい」と思ってもらったり、起業するなら「この人になら付いていきたい」と思ってもらえるような人になれたらいいと思います。
なので、伝えられることとしては、「誠実に生きる」こと。
これに尽きると思います。
話し口調であったり、お客さんと向き合う時に大切にしていることはありますか?
もちろん絵的な部分もあるんですが、デザインとは商品の良さを分かりやすくシンプルに整理して伝えるということだと思っています。
なので、僕がお客さんと話す時もわかりやすさを意識して言葉を選んでいます。
デザインだけでなく、お客様への対応も分かりやすくということですね。
例えば、お客さんがわからないような単語や言い回しはできるだけ使わないようにしています。
こういう心がけも結果的にお客さん目線というところにも繋がっていくんだと思います。
ちなみに、平岡さんのデザインは「優しい」と言う印象を持つ人が多いと思うのですが、優しい雰囲気のデザインは優しいデザインにしよう!と意識されて生まれるのか、作ったものが自然と優しい雰囲気のデザインになるのか、どんな感じですか?
優しくしようと意識しているわけではないですね〜。
でも元々、繊細なデザインが好きでした。
「昔から優しいデザインってなんですか?」って聞かれた時には、「このデザインを作った人は優しい人なんやなっていうのが伝わるものを作っています」と、相手にもわかるような表現で答えています。
自分で言うのも恥ずかしいんですけどねー(笑)
7.今後の展望
平岡さんの今後の展望について教えてください。
独立してから3年が経ちましたが、ずっと仕事に打ち込んできたおかげでお客さんも増えてきて、仕事が安定してきました。
なので、一旦ここで立ち止まって、休みつつも働きやすい環境の整備をしていきたいです。
今、一緒に働く人を雇って増やそうとしても僕はフリーランスなので、社会保険などが設けられなくて、アルバイトみたいになっちゃうんですね。
だからデザインの勉強がしたくて一緒に働こうと考えてくれている人でも、働く環境としては良くないってなるので、ちゃんと整備していきたいんです。
これからも拠点は変えずにやっていきますか?
そうですね!今、枚方を拠点にしているのでもちろん枚方のお客さんは多いですが、滋賀や東京などの遠方からも依頼が来ています。
つまり、枚方を拠点にしていても全国の色々な場所から依頼をいただけるようになってきているので、特に拠点を変えようとは考えていないですね。
8.ビィーゴのいいところは「人」
ビィーゴのいいところと改善点を教えて下さい。
いいところは「人」ではないでしょうか。
ビィーゴを運営している人たちはいい人が集まっているなと思っています。
ありがとうございます!改善してほしいところはないですか?
仕事柄長時間座っているのでもう少し柔らかい椅子にしてほしいです(笑)
それぐらいしかないです。
9.ビィーゴは(きっかけ)ができる場所
ビィーゴは( )ができる場所ということで、平岡さんにとってビィーゴはどのような場所ですか?
改めて考えてみたんですけど、僕にとっては「(きっかけ)ができる場所」だと思います。
平岡さんにとって、どういうきっかけがありましたか?
このビィーゴのロゴやサインなどのデザインを色々担当させてもらったと言うこともありますし、様々なビィーゴ会員の皆さんと出会えたきっかけもあります。
ビィーゴという場所を通して新しいお客さんにも会えました。そういう意味では本当に色んなきっかけがありました。
ちなみに、家でも作業をされていますか?
家でもやりますよ。子どもたちがまだ7歳と4歳で学校が終われば昼過ぎには帰宅してうるさくなってくるので、集中できる場所としてビィーゴを活用していますね。
例えばおすすめポイントはありますか?
例えば、公民館やカフェでも仕事をやろうと思えば出来ると思うんですけど、ビィーゴでは自分が何か困った時に備品を借りられたり、意見を聞いてくれたり、何かしら助けてくれる人がいるのが、他の施設とは違う、良い点です!
ありがとうございます、是非使えるところは色々活用してください!
これからもよろしくお願いします。
平岡直樹さんプロフィール
平岡直樹 / yuu(フリーランスデザイナー)
大学卒業後デザイン会社に勤め、2018年に独立。枚方市を拠点に企業や幼稚園、カフェなどのデザインを幅広く制作する。
繊細で柔らかい絵や文字と内容の分かりやすさが追求されている「優しいデザイン」が特徴的。
編集後記
今回のインタビューで、平岡さんの紡ぐ一つひとつの言葉から内面の「優しさ」を感じることができました。
「技術も大事ですが、人柄が大切なんだと思います」
平岡さんに言われたからこそ説得力があり、これから社会人として働いていく上での教訓です。
「お客様目線でデザインを作る」
平岡さんは仕事をする上で大切にしていることとして挙げられていましたが、これは自分の個性を発揮して制作するデザイナーさんにとっては難しいことでもあると思います。あくまでも相手の求めているものを作り上げるために制作に励まれる平岡さんの姿勢に胸を打たれました。
他にもたくさんの素敵なお話・お言葉があり、思い出に残るインタビューとなりました。
平岡さん、素敵なお話をありがとうございました。