果実堂・谷口聡さんに聞く「リモートワークという働き方」[前編]【ビィーゴ会員様インタビュー】

第25回目となるビィーゴ会員インタビューは、スーパーなどでもよく見かける“ベビーリーフ”を生産している農業法人、株式会社 果実堂に勤められている谷口聡さんにインタビューをしました。今回は前後編でお届けします。
現在はリモートワーク勤務がメインの谷口さん。
前編では、今のお仕事に至った経緯、リモートワークの良いところや課題などを中心にお聞きしました。お話を聞く中で、リモートワークの実際のところを色々と知ることができたので為になりました。
そして今回は、コーヒー担当(?)で、金曜コミュニティマネージャーの山﨑も同席しました。
それではお読みください!

谷口 聡
(株)果実堂 営業推進部 グループ長
和歌山県出身。子どもの誕生を機に枚方市に移住。全国4拠点にいるメンバーとともにリモートワークで営業活動を行っている。
株式会社 果実堂
日本最大級のベビーリーフ農場を展開する、熊本県に本社を構える農業生産法人。
提携生産者に技術指導を行うコンサル流通事業も展開中。
<インタビュアー>:アサカワ ミト(ビィーゴ コミュニティマネージャー)
山﨑 謙(移働家・コミュニティマネージャー)
インタビューでコーヒー担当?

谷口さん、今日はよろしくお願いします。あと今回、コーヒー担当としてスタッフの山﨑謙も同席させていただきます。

ありがとうございます。よろしくお願いします。

インタビューにコーヒー担当っておかしくない?

普段この時間はコーヒーブレイクタイムをしているので、せっかくならと。
よかったら山﨑さんからも質問がありましたら聞いてください。

はい・・・わかりました。

果実堂はベビーリーフを生産している会社

それでは、改めまして自己紹介をお願いします。

株式会社 果実堂の谷口聡(たにぐちさとし)と申します。

まず果実堂さんは、どういった会社なんでしょうか?

弊社はベビーリーフを生産している農業法人です。本社が熊本にあって、農場は熊本、三重、あと協力会社の農場が福岡と宮城にあるので、4拠点でやらせてもらっています。



おお、ベビーリーフですか。4拠点。結構、全国に展開されていますね。

そうですね。生産拠点を複数持つことで、安定的な供給体制を取れるようにしています。

栽培はどれくらいの規模でされているんですか?

ベビーリーフはハウス栽培をメインで作ってるんですけど、面積は69ヘクタール、ハウスの棟数でいうと全国で850棟です(※)。本社の熊本が一番多くて、そこで500棟ほどありますね。

※ちなみに69ヘクタールは、東京ドーム約15個分。甲子園球場約55個分。サッカー場 約97個分に相当する広さです。


熊本で3分の2ですか。

そうなんですよ。そのうち42ヘクタールがいわゆるオーガニック。有機JASの認証を取ったものになります。おそらく日本最大クラスの面積だと思いますね。

ちなみに有機じゃない方はどういったことをされてるんですか?

基本的に全て有機と同じ基準で栽培しているんです。ただ各農場ごとで、有機栽培を証明する「有機JAS」の認証が取れるのに2年かかるので、その転換の間を慣行農産物(※)として出荷しています。

※「慣行農産物」とは、化学農薬や化学肥料は使うけど、法律で認められた基準の範囲内で使う一般的な栽培方法で作られた農産物のこと。一方「有機農業」は、化学農薬と化学肥料は原則使用禁止で、天然物由来の合成農薬や肥料の使用は認められている。


じゃあ実質は有機栽培のレベルでベビーリーフを作られているんですね。

そうですね。 もううちはですね、めちゃめちゃベビーリーフ作ってます(笑)
ちっちゃい葉っぱで1枚は大体1グラムか2グラムなんですけど、それが年間出荷量で大体900トンぐらいあります。

900トン!

なんの想像も出来ないです(笑)


僕もわからないです(笑) とにかく、ベビーリーフとしては多分日本で一番たくさん作ってると思いますね。

おおー。それで全国シェア率はどれくらいですか?

そうですねぇ……市場規模の20%くらいじゃないでしょうか。

あれ、日本一の生産量でもそれくらいなんですか?

正確なデータはないのですが、全国のスーパーで20%くらいの店舗にお届けしているので、そのように捉えています。

そもそもベビーリーフって・・・

あの、そもそもベビーリーフって・・・幼い葉っぱ、ですよね?

そうです。知らないですよねー。実は、浅川さんみたいにベビーリーフって何なのかよく知らない人が結構多いんです。ベビーリーフっていう野菜だと思ってる人も結構多くて。バイヤーでそう思ってる人もいました。


業界内でも!?(笑)

よく考えたらボクもあまり考えたことなかったです!確かにベビーリーフって書いてるから、そういう新種の野菜なのかなって思ってましたね。これって要はミックスですよね?


ミックスです。ピンクの方はベビーほうれん草だけですし、黄色はミックスで、パッケージにちゃんと全部の品種が書いてあるんですよ。

あ、書いてますね。

ピノグリーンっていうのは小松菜。グリーンロメインはロメインレタスですね。ビートというのは、大きくなると赤軸のほうれん草みたいになる野菜です。ビーツって赤い野菜あるじゃないですか。あれは根っこで、ビートはその葉っぱです。

あ、ビーツの葉っぱですか!


ちなみにロロロッサっていうのは、レタスです。ちょっと柔らかいですね。

えー面白い。そんなのを教えてもらえるようなイベントやりたいですねー。

あ、やりたいですね(笑) ところで栽培は年中出来るんですか?

年中出来ますね。一番早い品目で一番早い時期だと、種を撒いてから14日ぐらい。2週間後には収穫です。


早いですね。

通常、今までのベビーリーフって大体年間8回転、つまり8回作るんですけど、それを今我が社では最大14回転までできるようになりました。だから多いときは月に2回収穫してますね。
弊社は“作物を適正に作るためにはどうしたらいいか”というところをすごく突き詰めている会社なんですよ。

確かに追求が凄そうですね!

はい。とにかく追求してやってますね(笑)
だからハウスの設計も自社でやってます。最適な環境を作ると回転も速くなって収穫量も上がるので、通常のハウスに比べると2倍以上の収量をあげていますね。

凄い!

ここでコーヒーが・・・

コーヒー入りましたー

ありがとうございます。いただきます。

大学卒業後は就職せずにくすぶっていた時期も・・・

ここからは、今のお仕事に至る経緯や職歴を教えてください。

はい。実は、僕は大学を卒業してからちゃんと仕事をはじめたのが30歳からだったんです。

あら、そうなんですね。

はい。非常にくすぶっていた時期が長かったんです。でも30歳手前のときにこのままじゃ駄目だなと思って、ようやく就職活動を始めました。


自分で脱することができたんですね。

はい。その後、農業関係の事業をしている会社に就職して、それが6年。でもその会社が解散することになって。そのあと同じ農業系の会社の果実堂に拾ってもらって今に至る、という流れですね。元々実家が農家だったので、農業は身近な存在でした。

そうなんですね。じゃあ、大学は農業関係だったんですか?

全然違います。経営学部でした。今の仕事とあまり関係ないですね(笑)


あら、そうなんですか(笑) 経営学部を選んだ理由はなんだったんですか?

昔からお笑いとCMに興味があったんです。お笑いもCMも、短い時間でお客さんをつかみますよね。それがすごいなと思って。
たとえば2000年代初め頃に、ファンタのCMで「ファンタ学園」っていうシリーズをやっていて。癖だらけの先生がいっぱい出てきた面白いCMだったんですけど。

あー、あったあった。懐かしい。

経営学部に入ると、元電通の人が教授をしていたので、その教授のゼミに入らせてもらってデザインなどを学んだりしました。
アートの部分ではなく、デザインからどう価値を高められるか? みたいな。ユニバーサルデザインも含めて、そんなことをやる学部でしたね。


でもその後、就職されなかったんですよね。それまではどう過ごされていたんですか?

オンラインゲームばっかやってました。その時は、それ以外何もしてなかったですね。本当、よくそれで生きていたなって思います。

そこからの脱却のきっかけは何かあったんですか?

なんでしょうね・・・
ずっと1人でゲームやってても面白くないし、30歳になるし、もう家族のために仕事をしようと。それで職業訓練に行ったんです。そうしたら「あ、意外とやれる」ってなって。


そういう体験や、気持ちになれるのって大事ですよね。

僕は自己評価が低かったんです。大学生の時、周りにすごい人間が多くて。それでちょっと引け目を感じてしまいました。けど、いざ社会に出てみたら「あ、やれるな」って。会社でもそれなりに評価してもらえましたし、それで気持ちも変わって社会復帰できました。
だから実は、将来どこかでそういう人たちに向けて話をする機会を持ちたいと思ってるんですよ。くすぶってる人たちって、いつもどこかにいると思うんで。

良いですねー。ボクも割と長い間くすぶっていた方の人間なので、ぜひお話を聞きたいですね。

それはもう、ビィーゴでやりましょうよ(笑)

リモートワークになった経緯

ここからは会社員によるリモートワーク勤務について、谷口さんにお聞きしていきたいと思います。
最近はビィーゴでも、リモートワーク勤務で利用されている方が増えていて、実際はどんな感じで働かれているのかなどをお聞きしたかったんです。
まずはリモートワークが導入される前はどのような働き方だったり、職場環境だったのでしょうか?

今の会社に入ったのがちょうどコロナ禍の頃で、営業メンバーは各地に別れていて、打ち合わせや会議はweb会議がほとんどでした。
私は三重県の農場事務所に配属されて勤務していたんですが、大阪に家があるので、単身赴任でした。そこには2年ぐらい居たんですけど、大阪を拠点に仕事をしたいと申請して、それで家に近いビィーゴで仕事をさせていただくようになりました。

あ、リモートワークしたいとご自身から仰られたんですね。で、それが通ったんですね。

まあ・・・ちょっと、半ば強引に(笑) 許してもらえて感謝です…


(笑) ちなみに三重の営業所は、まだ誰かいるんですか?

今はいないですね。もう一人いた営業もこっちに来ました。営業エリアも関西が中心なので好都合でした。

それは良かったですね。

ただ、逆に僕は東海エリアも担当しているので、たまに三重に居たほうがよかったんじゃない?と言われることはあります(笑)

6人で全国をカバーする営業職

ちなみにお聞きしていなかったんですが、会社では営業をしていらっしゃるんですか?

それ、先聞くやつ!


はい、営業職です。250社ぐらいとお取引してるんですけど、納品してる店舗は大体4000から4500店舗ぐらいです。営業メンバーは関東に2人、関西に2人、九州に2人で計6人です。

あ、営業さんは6人だけですか。その6人で全国をカバーしてるんですか??


そうですね。北海道以外には商品供給していて関東から九州が中心です。

1人が受け持つエリアが広いんですね。営業ということは、ビィーゴでリモートワーク勤務になってからも、出張に行かれることはあるんですか?

そうですね、以前まではWeb商談が多かったんですけど、逆に今は対面商談が結構増えてきています。

あれ、なんか先ほどからちょっとリモートワークが裏目になっていらっしゃるような・・・


コロナが落ち着いて、やっぱり直接顔を突き合わさないとってなってますねー。管理面の仕事も増えてきたので、仕事がしづらいと感じることはないですね。

そうなんですね。じゃあ以前ほどは出張で回る頻度が減ったってことですね。

そうですね。
リモートワークになって良かったこと

リモートワークに移行して、何が一番変わりましたか。


一番変わったのは、家に着く時間が早くなったことですね。家族との時間が増えました。
それまでは単身赴任だったので、週末だけ帰ってくる感じだったんです。車で大体2時間半ぐらい。そのときはちょうど娘が生まれたタイミングだったので、なかなか大変な時期でもありました。けど、今はもうバスで30分くらいなので(笑)

それは早いですね(笑) お子さまもまだ小さいでしょうから、助かりますよね。

しかも、二人目も生まれまして。

おおー、そうなんですか。 おめでとうございます!それはもう早い方が絶対良いですね(笑)


助かってますねー。それに、結構自分のペースで仕事ができるので働きやすいです。
会社にいると何十人と仕事をするので、いろんなことで呼ばれたりするんですけど、リモートだとそれも減るので、自分の仕事に集中しやすいのもいい点かなと思います。

いちいち呼ばれると、気が散りますもんね(笑)
リモートワークの難しいところ

逆にリモートワークになって、慣れないことってありますか。


そうですね。慣れないことというとやっぱり、コミュニケーションが難しいというところは結構ありますね。画面を通してや、電話だけだとやっぱり伝わりにくいんですよね。相手の表情が暗いなとか、なんか元気ないな、そわそわしてるなとか。なんとなく感じはするんですけど、細かいところはちょっとわかりにくいですね。
そこは、チームをまとめる立場としては気にしてあげなきゃいけないところでもあるんで。

わかります。僕も以前は営業をしていたんですけど、リモートでのコミュニケーションだけだと、逆にちょっとしたことが相談しづらいんですよ。

やっぱりそうなんですね。少し物静かな人と実際に会ったらすごく良く喋るので、聞いてみたら「web会議だと緊張するんです」ってわかったり。

そういうこともあるんですね。ボクは逆にリモートの方が自分の表情を確認できるから、メリットになってますけどね。


僕も自分がどんな顔してるのか見てますね。
でもそのあたりの意識って人によって違うから、リモートによって緩んじゃう人もいますよね。
そういう難しさを感じるから、まめに連絡をするようにしています。細かに電話するとか、チャットするとか。ちょっと変だなって感じたり、気になることがあったらすぐ電話して「どう?」って言うように心がけてますね。

谷口さん、結構電話していらっしゃいますもんね。

すみません。めちゃくちゃ電話多いんです(笑)

けど、それだけ連携が大事ってことですもんね。そうかー、やっぱりそういうソフトな面が課題になりますね。


ですね。でもハード面にも課題があって。それで言うと、お客さんからたまに「FAXで送ってくれ」と言われたりすると困りますね。僕たちの業界ってまだまだ古いから、FAXがまだまだ生きていて。これが手間ですね。

ああー。ビィーゴはFAXないんですよね。

なのでやっぱり、リモートは色んな面で課題がありますね。
仕事をする上でいうと、ちょっと自立できてる人間じゃないと難しいところがあります。会社のその場の空気、雰囲気で引っ張ってくれるってことがないので、自分事として捉えないとなかなかうまく仕事が進まないので、自分で考えて仕事をすることが大事になってきますね。
僕もちゃんとスケジュールを決めたり、タスク管理をすごく気にするようになりましたね。

リモートワークによって順応しやすい人と、しにくい人っていうのは、これからどんどん浮き彫りになってくるんでしょうね。


自分はできてても、部下ができてないとかもあると思うので、それも見てあげないとだから、結構大変かもですね。

新卒で入った子なんかは職場を知らないので、適応するのがちょっと大変かもしれないですね。
「困ったら何でも聞いてね」と言ってても、「他の皆さん忙しそうだから電話がしづらくて」ということがあって。あ、そういうこともあるのか、と気づきました。
谷口さんのビィーゴで参加したいイベント

谷口さんはリモートワークとの相性が良いってことで、今後もビィーゴをより良く使っていただければと思うんですが、ビィーゴで開催されているイベントで気になるものってありますか?あ、でもいまは仕事を終えたらすぐに帰りたいですよね(笑)

まあ、そうなんですよね(笑) でもめちゃくちゃ興味のあるイベントはいくつかあります。やっぱりゲームが好きなので、ゲーム部とかめっちゃ参加したいですし、あと以前ミステリーを語る会をやってましたよね? 僕はミステリーも好きなんで、いいなと思ってました。


おおーー、ぜひタイミングが合えば参加してください!なんなら、谷口さんに合わせますので(笑)

ただ、僕は会社員で勤務時間としてビィーゴを利用しているので、そこがちょっと難しいところですよね。
そのあたりが課題かなって思いますけど。ただ、まだ参加させてもらってないので、まぜてもらったら何か生まれる可能性は結構あるかなとは思うんですよね。

どういうことしたら参加してもらいやすいんやろなぁ。

ふと思いついたんですけど、ビィーゴってキッチンスペースがあるじゃないですか。うちはご覧の通り食べ物を扱ってる会社なので、例えば栄養管理士さんを呼んでイベントをして、そこでうちの商品を提供させてもらったりとか、そうやって一緒にイベントや協賛として出してもらうみたいなことができたら面白いかなと。


それは面白いですね。だってベビーリーフを売っている会社さんの話ってなかなか聞けないですし、スーパーで売ってるベビーリーフにも「あ、これ果実堂さんとこのベビーリーフだ」って親しみが持てるようになるから良いですよね。

あのー、実は今日、このあとご飯を作るイベントやるんですけど、せっかくなんで使わせてもらって良いですか?

どうぞどうぞ! ぜひ使ってください。差し上げるつもりで持ってきたんで!

ありがとうございます!

ということで、この日開催された「ビィーゴオフ会! アウトドアオフ会&コワーキングキャンプ飯!」でサラダとしていただきました!
オリーブオイルと塩でいただいたんですが、新鮮なのでベビーリーフでも野菜の歯応えとおいしさがしっかりと感じられました。シンプルな味付けでも十分、美味しかったです!(むしろその方がオススメ)
続きは後編で・・・
後編では、谷口さんが勤められている株式会社 果実堂の様々な取り組みについてお聞きしました!
実はテレビ番組「がっちりマンデー!!」でも取り上げられたことのある果実堂さん。
農業の未来に向けた熱い取り組みをされていることがわかって、とっても興味深いお話を聞くことができましたので、後半もぜひ読んでみてください。
